アランの「幸福論」に次のような話があります。 「ピンの発見」の話です。 「赤ん坊が泣き止まない」のでミルクを与え、おしめも変えたのに泣き止まない。どうしたのだろうと悩んでいたところ、身にまとっていた服のピンが当たって痛くて泣いていただけだという話があります。 また、アレクサンドロス大王の名馬ブケファラスの話があります。贈り物のブケファラスが暴れ馬で困っていました。しかしアレクサンドロスはあることに気づきます。馬は自分の影に怯えて暴れているだけだと。そして、怯えるとさらに自分の影が動いてさらに怖くなって暴れてしまうという悪循環に気づきました。そこで馬の鼻づらを太陽に向けると暴れなくなったという逸話が残っているそうです。
そうなのです。本当の原因は意外なところにあるのです。
算数でもこうしたことがあります。算数をできるようにしようとして悪循環に陥っていないでしょうか?その勉強方法は「ピン」を発見できていますでしょうか。見当違いな勉強方法を続けていっても、いつかは算数・数学がにっちもさっちもいかなくなることをご存知でしょうか。たとえ志望校の入学試験を突破できたとしても、その後大変な6年間が待っていることになります。算数数学からは逃げることは出来ないのです。
それに、偏差値がまったく取れなかったり、入試問題の合格者平均に全く届かないという現実を目の当たりにしてからでは手遅れという場合もございます。こうしたことを前提として、真剣に次のチェックポイントをご参考にしていただけましたらさいわいです。
①ひっ算だらけ
②問題をどう解いたのかわかりづらい
③問題文を何回も読んでいる
④とにかく類題でないと習っていないと言い張る
⑤なんだかあてずっぽうで解いている
⑥規則に気づかずとにかく根性で調べ上げている
⑦難しい問題だと思い込んで複雑な解き方をしている
⑧解いたあとが方程式になっていることが多い
⑨手が止まってまったく動かない(何も考えられなくなり思考停止する)
⑩どうも何も考えずに×÷+-の四則を駆使して答えらしきものを探索している
⑪「ビンゴ」などといって答えらしき数字に見当をつけて当てもののように割り出している
⑫どうも模範解答の横式を丸暗記しているようだ
⑬算数の問題が無限の種類があるように思っていて、難しい問題をどんどんとやりたがりどれも身についていない
⑭自分で計算した数字が何を求めたのかを答えられない。
⑮算数のエッセンスから考えて問題を解くことができず、すべての問題パターンをやらないと落ち着かず、それだけ解きまくっている割には得意にならない。
まだまだチェックポイントはありますが、これくらいにさせてください。
算数が難しいという思い込みでその影におびえて、悪循環の勉強をしていませんでしょうか。ただ単に「基本がわかっていないだけ」「理解をしていないだけ」「当たり前のことを当たり前に考えていないだけ」ではないでしょうか。にもかかわらずレベルがアンマッチな問題ばかりに一生懸命取り組んでいては、「ピンの発見」が出来ていないと言わざるを得ません。当塾に通われた際に、本当に初めは皆さん「え?こんな基本的な事から始めるのですか?」と少し驚かれますが、それは「ピン」が発見できていないのですね。そして、いつの間にか「難しい問題も自然に解ける!!!」となってから「なるほどそういうことだったのですか」と気づいていただけます。
弊塾に来られる場合に、5年生とか6年生から来られる場合も多いのですが、できれば4年生から算数の基本動作をしっかりと身に付けると本当に余計な苦労をしなくて済みます。上記のようなことであれば、いずれ壁にぶちあたりにっちもさっちもいかなくなります。模擬テストでショックを受けてから、または、入試問題を解き始めてから衝撃の事実に気づいて、途方に暮れてから来られるよりは、早め早めで来ていただけますと苦労が少なくて済みます。どこでついたのか沢山の悪癖をひっぺがす作業は大変な苦痛を伴います。
願わくばそうならないようにしてあげたいと思っています。